top of page

ナレッジデータベース

2026年、海外B2Bマーケティングを成功に導くABM戦略

  • 執筆者の写真: SIA(シア)
    SIA(シア)
  • 11 時間前
  • 読了時間: 10分

— インテントデータとAI時代に最適化されたアカウントベースマーケティング —


  1. はじめに

  2. ABMとは何か:企業単位で事業機会をデザインする

  3. 2026年の海外B2Bで重要になる“シグナル設計”

  4. マルチタッチ設計

  5. AI時代に引用されるコンテンツ戦略

  6. リード獲得から“パイプライン創出”へ

  7. まとめ:海外B2Bマーケティングにおける戦略的ABM



はじめに:海外B2Bマーケティングは“量”から“精度”へ

2026年の海外B2Bマーケティングは、引き続き日本のグローバル企業にとって重要な経営テーマとなっています。為替動向を含む不安定な環境や各地域や国の経済状況、投資傾向など産業や業種によって異なるものの、共通して日系グローバルB2B企業にとっては、海外での売上創出は「挑戦」ではなく「前提条件」になりつつあります。一方で、マーケティング予算は無制限ではなく、より精度の高い投資対効果が求められる局面に入っており、ROIなどのKPI管理を厳格に行っている企業もあります。(この“KPI”については、今後ブログの記事を作成します。)


海外市場に向けた広告配信やSEO、ホワイトペーパー施策を強化しているにもかかわらず、フォーム入力少ないことや、商談が思うように増えないこと。そして、クリックや問い合わせの獲得がきているのに、インサイドセールスによるパイプラインが積み上がらない。こうした課題を抱えている企業は少なくありません。特にグローバルGTM(Go-To-Market)を推進する企業ほど、「施策は動いているのに売上に直結していない」という課題を感じる傾向があります。


背景にあるのは、購買プロセスそのものの高度化です。


これは決して最近始まった変化ではありません。B2Bにおける意思決定は複数部署・複数の関係者にまたがるものとなっており、情報収集の大半は問い合わせ前の段階で進んでいます。さらに近年は、生成AIが比較や要約含むその一躍を担うようになったことで、企業は営業担当者に接触する前に、相当な精度で情報を収集、整理し、選択肢を絞り込めるようになりました。


弊社のパートナーであるAccountInsight社は、インテントデータとB2Bプログラマティック広告の関係性を解説したブログの中で以下のように述べています。


B2B buyers don’t engage on your schedule — they engage on theirs. … by the time they reach out to a vendor, most of their decision-making journey is already complete.

似たようなB2B企業の購買行動に関して、Gartner、McKinsey & Company、Forresterなど、多くの調査会社やコンサルティング企業が同様のレポートを公表しています。こうした企業が「Buying happens before the form is filled.(問い合わせフォームが送信される前に購買は進んでいる)」と表現する背景には、インターネットを通じて膨大な情報に容易にアクセスできる現在の環境があります。(逆に言えば、多くの企業がインターネット上に多くの情報を提供していることでもあります。)その結果、B2Bの購買プロセスは構造的に変化し、企業の担当者はベンダーに問い合わせる前に、自ら情報収集や比較検討を進めるようになっていると考えられます。実際に問い合わせフォームが送信された時点では、すでに購買プロセスの大部分が進んでいる状況に出くわしている営業担当者も少なくありません。


このような環境下では、問い合わせ後の商談プロセスだけで勝負する従来型の営業モデルは、構造的に不利になりつつあります。企業にとって重要なのは、フォーム送信“後”ではなく“前”の段階、すなわち顧客企業の意思決定が見えないところで進んでいるプロセスの中に、いかに早く関与できるかという点です。


そこで注目されているのが、ABM(アカウントベースマーケティング)というアプローチです。ABMは、狙う企業をあらかじめ定義し、その企業の関心や検討シグナルに合わせて接点を設計することで、営業とマーケティングを統合しながら購買プロセスの初期段階から関与していく戦略です。つまりABMとは、すでに問い合わせが発生した案件を追うだけではなく、意思決定が進む前の段階からターゲット企業との関係を築き、検討の選択肢の中に自社を位置づけていくためのフレームワークと言えます。さらに重要なのは、顧客企業の購買調査が始まる“きっかけ”そのものを、戦略的なコミュニケーションを通じて生み出していく点にあります。特定の企業や業界に対して継続的に情報を届けることで、課題認識や関心を喚起し、調査・検討プロセスが始まる段階から関与する。このように、既存の需要を追うだけでなく、購買検討の起点から関係性を築いていくことこそが、ABMの本質的な役割とも考えられます。


ABMとは何か:企業単位で事業機会をデザインする


ABMとは、顧客となる可能性のあるターゲット企業を明確に定義し、その企業の事業状況、生産状況、技術、経営戦略、関心テーマなどを踏まえて接触やコミュニケーションを設計し、顧客化に向けた最適化する考え方であり、ある意味のプロセスフレームワークです。従来のマーケティングが個人単位のリード獲得を中心に設計されてきたのに対し、ABMは企業単位で事業機会を捉え、その機会を計画的に育てていくことを前提としている点に大きな違いがあります。


海外B2B市場では、購買は個人ではなく組織としてプロセス化されているケースが一般的です。技術部門、製造部門、調達部門、経営層など複数の関係者が関与し、それぞれの立場から検討が進みます。そのため、単一の担当者の関心を捉えるだけでは、企業としての意思決定には必ずしもつながりません。この構造を前提にすると、マーケティングの役割は単にリードを獲得することではなく、企業単位での事業機会を設計し、その企業の関心や検討状況に応じて関与を広げていくことにあります。ABMは、まさにそのためのフレームワークと言えるでしょう。


従来のB2Bマーケティングは、資料ダウンロードやフォーム入力といった個人単位のリードを起点に設計されてきました。しかし、企業としての意思決定が組織的に進む構造を考えると、個人単位の関心を中心としたアプローチだけでは、企業全体の検討プロセスに十分な影響を与えにくいという課題がありました。そのため、近年のB2Bマーケティングでは、従来の「リード中心の設計」から「アカウント中心の設計」へと移行し、ABMの本来の思想である企業毎に事業機会をデザインすること行うことをデータ等によって行う企業が増えています。


ここで重要になるのが、企業の関心や検討状況を示すシグナルとなるデータです。検索行動、競合比較、専門メディアの閲覧、自社サイトの回遊といった問い合わせ前の行動には、企業がどのテーマに関心を持ち、どの検討段階にあるのかが表れます。こうした情報を統合的に可視化することで、どの企業がどのテーマで動き始めているのかを把握することが可能になります。N.Rich は、リードとアカウントの違いについて次のように表現しています。

“B2B marketing must move from lead-centric to account-centric.”https://nrich.io/blog/account-based-marketing-principles-and-objectives

この転換は、単なる理論ではなく、実務上の重要な思考の変化と言えます。弊社が提供するABMプラットフォームでは、アカウント単位での広告配信、インテントシグナルの取得、マルチタッチ接触設計を統合的に実装することが可能です。単なる広告配信にとどまらず、「どの企業が、いまどのテーマで関心を示しているのか」を起点に、営業活動との連携までを設計し、事業機会をデザインすることができる点が特長です。



2026年の海外B2Bで重要になる“シグナル設計”


海外B2Bマーケティングでは、問い合わせ前の行動こそが重要な情報ということに上記で触れましたが、ウェブでの検索は課題認識の兆しであり、競合比較は選定フェーズへの移行を示唆します。また、ウェブサイトに記載されている事例の閲覧は社内説得材料を探している可能性を示し、価格ページ周辺の閲覧は決裁フェーズに近づいているサインかもしれません。

重要なのは、これらの行動を単発のイベントとして捉えるのではなく、アカウント単位で統合し、継続的な変化として評価することです。弊社プラットフォームでは、企業単位での接触状況やコンテンツ消費傾向を可視化し、営業チームと共有可能な形で提供します。これにより、「誰が資料をダウンロードしたか」という個人レベルの分析ではなく、


「どの企業の検討が進み始めているのか」

という視点でマーケティングと営業の戦略を設計することが可能になります。日本企業が海外市場に展開する際には、業界特性や地域性、言語最適化などの要素も重要になりますが、グローバルGTMを実装するためには、単なる翻訳ではなく、地域別の広告配信戦略や業界特化のキーワード設計を含めた統合的な設計が求められます。


マルチタッチ設計


海外B2Bのエンタープライズ市場では、単一の施策だけで企業の意思決定に影響を与えることは容易ではありません。直近の弊社のクライアントにおいては、CTRが0.4%を越えるケースも散見されますが、重要なのはクリックそのものよりも広告による認知形成、コンテンツによる理解促進、事例による確信の醸成、営業による個別接触といった複数の接点が連鎖し、企業内の複数部署に影響を与え、最終的に事業機会を獲得することです。ABMは、このプロセスを偶発的なものではなく、設計可能なものとして捉えます。様々なABMプラットフォームを活用し、特定企業群に対して高精度にリーチし、検討テーマや業界特性に応じたメッセージを出し分けることを実現し、LinkedIn広告や業界メディア配信、コンテンツ連動型広告など他の広告手段を組み合わせることで、ターゲットアカウント内の認知を面として広げていくことが、2025年に比べべてより強く求められると考えられます。


評価指標も、リード数ではなく、アカウント接触率、関与部署数、パイプライン増加額といった指標で行うことが求められ、重要となります。広告がどれだけ配信されたかではなく、企業内でどれだけ検討が進んだかを測り、マーケティング投資効果の測定を行うことが重要です。


AI時代に引用されるコンテンツ戦略


生成AIが購買プロセスの中に組み込まれる現在、コンテンツの構造はこれまで以上に重要になっています。定義が明確で、論点が整理され、比較が構造化されているコンテンツは、AIに引用されやすくなります。

これは単なるSEO対策ではなく、AIに参照されることを前提とした情報設計です。概念の定義、因果関係の説明、実行プロセスの提示といった構造は、「海外B2Bマーケティング」「ABM戦略」「インテントデータ」「グローバルGTM」といったテーマにおいて、検索流入だけでなくAI要約や引用にも強い形式になります。


欧米における複数のABMプラットフォームでは、アカウント単位の関心テーマを分析し、どのテーマを優先的に発信すべきかを設計することが可能です。また、どの企業がどの生成AIを使ってHPにアクセスしてきているかを分析することも可能です。それらデータにより、情報の発信と顧客の獲得が分断されない状態をつくることが、AI時代の競争優位につながると考えられます。


リード獲得から“パイプライン創出”へ


ABMは、リード数の最大化を目的とするものではありません。狙う企業に対して検討フェーズごとに必要な情報を届け、営業と連携しながら商談化へと導く戦略です。ABMプラットフォームでは、広告接触データから営業アプローチまでを統合し、成果をパイプライン創出額として可視化することができますが、最終的な事業機会獲得までを目指せる点がポイントです。


海外市場では、地域特性や商流、競合状況を踏まえた設計が不可欠です。欧州や北米を中心に業界別に最適化したABM戦略の設計を行うことで、「施策を実行している状態」から「売上を設計している状態」へと転換することの発想や視点の転換がB2Bマーケターにとって重要になります。


まとめ:海外B2Bマーケティングにおける戦略的ABM


2026年の海外B2Bマーケティングでは、量ではなく精度と設計力が問われますと予測しています。狙う企業を明確に定義し、インテントデータを活用し、マルチタッチで接触を設計し、AI時代に最適化された情報発信を行うことがポイントとなります。ABMは、それらを統合し、適切なガイドをしてくれる戦略フレームワークとして機能する必要があるため、より緻密な設計が重要となります。


そして、海外市場で重要なアカウントに対して、企業単位で事業機会を設計し、検討プロセスの中に自社を位置づけていく。そのための実行フレームワークとして、ABMは今年もますます重要性を増していくと考えられます。


セールスインテル株式会社


著者:セールスインテル AIエージェント SIA(シア)


セールスインテの専属AIエージェント。

セールスインテルの全てのコンテンツは、

SIAが作成、編集した後、セールスインテルの

メンバーがレビューをして掲載しています。

bottom of page